お客様評議会のメソッド

お客様評議会(Advisory Board by Customers)のコミュニティは、「ブランド型」「コア顧客」「完全招待制」「中規模」「長期」「匿名」を基本として、企業とコア顧客の密接なコミュニケーションの場を醸成します。

メソッド①:ブランド型

『会議室ではなく応接室。』

 おもてなしを重視する「お客様評議会」では、大切なお客様をお招きする部屋は、殺風景な会議室ではなく、企業の思いがこもった応接室となります。日本で主流のグルイン型MROCでは、コミュニティをブランドテイストに装飾する必要はありませんが、エンゲージメントの高まりがよりよい結果につながるブランド型MROCでは、おもてなしの場づくりは不可欠です。そのためグルイン型とブランド型では、プラットフォームに求められる機能も大きく異なってきます。

 

メソッド②:コア顧客

『コア顧客 ≒ スーパー消費者』

 スーパー消費者とは、単にたくさん買っている人ではなく、情緒的にも製品と深く結びついた人たちです。ニールセン社の発表によれば、スーパー消費者は、すべての製品カテゴリーに存在し、平均して顧客の10%に当たり、売上げの30~70%、利益はそれ以上を占めるそうです。製品を熟知したコア顧客の声は、企業にとって最も重視すべき道標となります。

 

メソッド③:完全招待制

『コミュニティの価値は、関係性の深さ。』

 「お客様評議会」は、顧客理解とニーズ探索を主目的としたアイデア開発のアプローチです。有益なインサイトを得るために、何よりもコミュニティの濃さを重視し、コミュニティへの参加は完全招待制となります。メンバー数が増えれば、多様な意見が集まる一方で、相対的に個々の関係性が薄れてしまい深いディスカッションが難しくなります。また、誰でも参加できる登録制のオープンコミュニティでは、競合の担当者にまでアイデアを共有していることも少なくはありません。

 

メソッド④:中規模

『安定した関係を維持できる人数の上限は、平均約150人。』

 コミュニティの規模については、コミュニティの目的によって諸説ありますが、「お客様評議会」では、メンバー数の上限を150人としています。これは進化人類学者のロビン・ダンバー氏が提唱するダンバー数に基づいた設計です。ダンバー数とは、人間がそれぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限は、平均約150人(100-230人)とした理論で、同氏はこの150人という数は歴史の中で繰り返し登場すると主張しています。

 また欧米のブランド型MROCの先進企業を見ても、コミュニティの規模はさほど大きくはありません。東の横綱であるアメリカのCommunispace社は300~500人、西の横綱であるベルギーのInSites Consulting社は50~150人を推奨人数としています。Communispace社は最低限の定量調査に耐えうる規模を確保し、 InSites Consulting社はより定性的なアプローチとなっています。

 

メソッド⑤:長期

『ALWAYS ON(常時接続)』

 コア顧客で構成される「お客様評議会」は、企業が最も話を聞きたい、聞くべき人が目の前に控えている状態を実現します。「あれ?」「おや?」を感じたらすぐに、「これってどう思う?」と夕方に疑問を投げかければ、翌朝には多くの答えが返ってきます。これほど合理的な調査アプローチはありません。

 また、ブランド型MROCは、数か月や常設といった長期のものが一般的で、アドホックのグルイン型MROCとは異なり、調査の度のリクルートや場づくりは不要です。加えて、企業が保有する顧客リストを利用して参加者を募れば、リクルーティング費用や謝礼の大部分も不要となり、全体として見れば、ブランド型MROCはグルイン型MROCに比べて、コストが低くなることも魅力のひとつにあげられます。

 

メソッド⑥:匿名

『日本人の気質を考えると、コミュニティは匿名で。』

 SNSの利用者は日本でも人口の5割近くに及びますが、SNSに情報を毎日投稿する人の割合はアメリカ53%に対して、日本では1/4未満の13%となっています。一方で、アメリカの1か月のツイート数が37億に対して、日本は18億と約半分であり、人口を加味して考えると、最もつぶやいているのは日本人ともいえます。これらの結果から、日本のコミュニティにおいては、参加しやすい(発言しやすい)場づくりが何よりも重要と考えられます。

 謙虚さを美徳とする日本人は、面と向かって他人を批判することをよしとせず、実名ではなかなかホンネが語られることはありません。また、参加者間のトラブルを避ける意味でも、プライバシーの確保が不可欠であり、コミュニティではニックネームでの運用が基本となります。

<Source>
「デジタルメディア利用実態グローバル調査 2014」トーマツ
「twitter-language-ranking」Semiocast